経営戦略とサステナビリティ
2020年、新型コロナウイルス感染癥の世界的な拡大により、不透明で先を見通せない狀況が続いています。當社では2020年1月末に対策本部を設置し、私が責任者として指揮を執って打つべき手をスピーディに実行してきました。従業員の健康と安全の確保とともに、経営?事業運営においても刻々と変わる情報の収集と施策展開に努めています。
當社は、2018年に掲げた「環境ビジョン2050」の中で「安心で健康な空気空間の提供」を謳っています。新型コロナウイルス感染癥により、全世界で換気や空気清浄への関心が高まっています。當社の技術や製品?サービスを最大限に生かしたソリューションをもって、高まるニーズにいち早く応えていきます。
危機に立ち向かう強い力が、當社の特長だと自負しています。その強みを今こそ発揮し、「空気で答えを出す會社」としてコロナ後の世界を見據え、さらなる成長に向けて歩みを進めていきます。
ここ數年當社は、エアコンの普及による便益と負荷、つまりプラス?マイナス両側面のバランスを取りながら事業を成長させる道を模索してきました。
空調は、暑い地域の室內環境に変革をもたらし、社會を支えるインフラの一つとして定著しました。熱中癥予防や空気質の改善を通じて人々の健康に寄與し、労働効率の向上による経済発展にも貢獻しています。
一方で、エアコンの普及は電力使用量を増加させ、地球溫暖化に影響を與えます。
新興國の経済発展などに伴って、空調需要は2050年に現在の3倍になると予測されています??爝mな空気環境を世界中へ提供しながら、將來にわたって溫暖化影響を限りなく低減することが當社の社會的使命です。2018年度に掲げた「環境ビジョン2050」のもと、溫室効果ガス排出実質ゼロへ挑戦しています。省エネや低溫暖化に寄與する製品?サービスの開発と普及を通じて、社會の溫室効果ガス排出抑制に貢獻すると同時に、さらなる事業の発展をめざします。
より高付加価値の空調を社會へ提供していくうえで、進展著しいAI?IoTの技術を生かすことが有用です。この考えのもと、當社は大阪大學の全面的な協力を得て、2017年度に社內講座「ダイキン情報技術大學」を開講しました。先進的な情報科學分野の知見と當社の保有技術とを結び付け、多様な課題解決にAI?IoTを生かせる人材を、2021年度までに約1,000人育成します。開講から3年を経て、生産や販売の現場における課題をAI ?IoTで解決するイノベーションが次々と生まれています。今後、社會の課題を解決するイノベーションにもつながるものと期待しています。
當社は2019年5月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同しました。財務情報と併せ、気候変動を含む環境?社會?ガバナンス(ESG)情報の開示に注力しています。
また、2008年から人権、労働、環境、腐敗防止の4分野に関する10原則を定めた國連グローバル?コンパクトを支持しています。
國際社會のめざす持続可能な開発目標(SDGs)の達成に事業を通じて貢獻し、お客様、株主?投資家、調達取引先、地域社會などさまざまなステークホルダーの期待にこれからも応え続けます。
ダイキン工業株式會社
代表取締役社長兼CEO
十河政則