フロン類による地球溫暖化を抑制するために、HFC冷媒の総消費量の規制(Fガス規制)※1が歐州で進んでいます。
一方で、冷媒を使うエアコンの需要は世界的に増しており、需給逼迫による冷媒の高騰が起きています。健康で快適な生活に不可欠なエアコンを安定供給し続けるために、低溫暖化冷媒への転換に加え、既存冷媒を循環して再利用することも重要です。
総消費量規制の強化を見據えて、ダイキンは冷媒の循環利用を可能にするサービスを歐州で開始しました。サーキュラー?エコノミーの考え方をベースに、生産しては消費?廃棄するワンウェイから、資源を再生?再利用し続ける社會への移行をめざします。
現狀、エアコンに充填された冷媒は、エアコンを廃棄するときに回収され破壊処理されます。しかし冷媒は、不純物を取り除いて再生させることで繰り返し使用できます。循環利用することで、新規冷媒の市場投入量を減らせます。
ダイキンは、空調事業と化學事業を併せ持つ強みを生かして冷媒再生施設をドイツに新設。一方で、英國を拠點に冷媒を回収し再生するA-GAS社と協力。こうして構築したルートを活用し、再生冷媒を用いた業務用マルチエアコン「VRV L∞P by Daikin」を2019年6月に発売しました。
「VRV L∞P by Daikin」の販売実績は、発売から10カ月で1萬4千臺にのぼります。これによりダイキンは、歐州で販売する業務用マルチエアコンへの新規冷媒充填量を従來に比べ約4割削減しました。
冷媒の循環利用をさらに進めるために、ダイキンは、主要なお客様が空調機を更新する際に、廃棄する空調機からの冷媒回収と「VRV L∞P by Daikin」の販売をセットにしたサービスを提案しています。將來の冷媒不足を懸念するお客様に安心していただけるよう、回収した冷媒を一時預かりとし、メンテナンス時に必要な冷媒のストックを保証します。このサービスは、回収した冷媒を確実に再生し、資源として循環させるソリューションです。環境意識の高いお客様に高く評価され、すでにオランダで実績をあげています。
オランダでは、歐州で小売りチェーンを展開するAction社に採用されました。順次改裝する店舗から使用済み冷媒を回収し、新設店舗へ「VRV L∞P by Daikin」を設置していきます。すでに同社では12店舗で回収を実施し、さらに30店舗で回収予定です。今後、ダイキンはサービス提供地域を歐州各國へと広げていく予定です。
破壊を前提とした冷媒回収は日本や歐州などで義務化されているものの、回収率が伸び悩んでいます。
回収率の向上には、再生利用による冷媒循環が將來的に不可欠であるという認識を社會に浸透させていくことが重要です。加えて、経済的に成り立つシステムを各地で構築できるよう政府や業界などと連攜?協力することも必要です。ダイキンは、それら関係者とともに冷媒循環を実現し、歐州から世界へと広げていきます。
Action社 グループ建設マネージャー
Michiel Coolen 氏
冷媒を廃棄して廃棄物を増やすのではなく、使える資源として再生利用し続けることで、當社が與える環境への影響をさらに減らしていきます。